まちづくりの視点を求めて

                                          四日市諏訪西商店街振興組合
                                            副理事長  野村 愛一郎

  まちづくりとは言うけれど
 
 「まちづくり」という言葉が商店街活動の中で使われ始めて幾年かの年月を過ごしています。
「まちづくり」とはハード・ソフトの両面を踏まえて、単なるイベントなどの賑わいづくりだけでなく、
日常的かつ恒常的に「街が活性化」する領域までも含んでいます。
 その観点からすれば、かつての活性化策(まちづくり策?)はハード事業としてアーケードや
カラー舗装に駐車場建設といったインフラ整備が中心であり、ソフト事業は大売出しに
その場限りの賑わいを生み出すイベント事業がその大半でしかありませんでした。
   
   時代に対応するには

 しかしながら、そうした事業ですらも国・県・市などの行政機関から補助金を当てにできる
時代ではなくなり、多額な資金を要するハード事業も今は昔のようにはいきません。
 郊外型大型店との競争に疲弊し資金的にも余裕の無い時に、抽選つきの大売出しも
時代遅れとなりました。
また、イベント事業もその当日だけは多くの方に来て頂けるのですが、翌日からはまるで
閑古鳥が鳴いているような街の状況が日常的に繰り返されています。
 ハード的にもソフト的にも時代に対応した施策を知恵や人的ネットワークを使いながら
創り出していかなければいけないと考え始めたのは21世紀を迎える頃だったと記憶しています。
 
    ソフトを変えて組織を見直す 
   
 こうした中で、まず手をつけたのはソフト事業に対する考え方とやり方でありました。
新しい事業をやる時に「総意」を大切にするあまり、合意形成に時間がかかるのをやめて、
「やる気のあるお店」だけでやってみようという【得々商店街事業】を平成16年から立ち
上げました。「やる気」をキーワードにしてスピード重視の施策です。
 また、すわ公園に交流館が出来たのを契機として、「商店街が行う」イベントから
「市民が行う」イベントにも重点を移し始めています。こうした【交流館事業】は市民がたんなる
「観客として」来街するのではなくて「自ら参画する」ことを旨としています。
いわゆる市民参加型の施策でもあります。
 さらには「安心・安全な街づくり」として、行政機関に要請するだけでなく「自ら行動」することで
行政機関に働きかける【防犯パトロール事業】も平成17年からスタートすることができました。
 このように、時代に対応した施策は<スピード重視><市民参加型><自ら行動>という
それまでにはない視点を加えたものでした。
 こうしたソフト事業の動きは、従来の商店街振興組合や発展会という組織のあり方を少しずつ
問い直す作業へとこの先は発展していくことでしょうし、またプロジェクト毎の専門的な組織を
新たに創るという作業へと連鎖していくことでしょう。
  
得々事業のメンバー 市民参加の会議 防犯パトロール
   
   新たなしくみへの模索
 
「まちづくり」という視点を今の時点で見つめなおすとすれば、それはソフトとハードの
両輪なのですから、今後はハード事業にむけた新たな取り組みが成されなければなりません。
前述のように行政機関の補助金頼りは出来ない時代になったのですから、
ハードに関しては『受益者負担』という概念が一つには浮かんできます。
 それは既に欧米で根付きつつあるBID=ビジネス・インプルーブメント・ディストリクト
=特定開発地区(月刊:石垣11月号に詳細)という手法に近いかもしれません。
 欧米のBIDで手がける事業は、清掃や警備、空き店舗対策、イベント、マーケティングなど
多岐に亘っており、地区内の地権者や小売業者などから、資産税や事業税に数%を上乗せして
税金として事業資金を強制的に徴収するのが特徴の一つです。
 現在の商店街や中心市街地においてこうした手法が馴染むのかどうかは、大いに議論の
あるところでしょうが、ソフト事業だけに留まらずハード整備や地区開発といった領域を
含んだ「まちづくり」には今後欠かすことのできない視点となることでしょう。
 この先、現在の疲弊した駅前中心市街地を活性化し、「夢ある街づくり」に向けては
今までトライしたことのないこうした議論と模索が喫緊の課題となるに違いありません。